出版から一年経ちました2015/03/16

昨日で「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」を出版して1年になりました。

福島や放射線のことを扱う作品を作るには相当の覚悟が要ります。
匿名でRTとか批判(批判ならまだいいかな)をするのとはわけが違います。
本ではしれっと質問していますが、放射線やリスク学の専門家の講演会や勉強会に通い、私なりにたくさん勉強しました。
いわゆる「風当たり」もとても考えました。しかし、放射線のわかりやすい本がなかった頃ですし、今やらなくちゃいけないことなんじゃないかという思いは一層強くなり、覚悟を決めて取りかかりました。

結果、よく「(ネットで)変なのに絡まれない?」と訊かれたりしましたが、そういう嫌な思いはしませんでした。いろいろな方に出会えて、いいことが多かったかな。読んでいただければわかると思いますが、一般的な考え方はこうですよ、ということしか書いてないので菊池さんのワイルドな舌鋒を期待(?)した方は「ええええ、こういう本になったの?」っていうびっくりの仕方だったみたいですね。
オピニオン本にはしたくなかったし、私的な話はまえがきと、最後の章の私の文章にとどめました。

最近「ふくしまからきた子 そつぎょう」という絵本が出版されました。
その絵本作家、松本春野さんの「3.8 NO NUKES DAY 反原発統一行動」でのスピーチを読みました。
http://www.harunomatsumoto.com/blog/2015/03/38-no-nukes-day.html

その後の彼女のツイートなどを読み、一年前の覚悟が蘇ってきました。
と思っていたら、今日、松本さんが私達の本をツイートでオススメしてくださっていました。
嬉しい事です。

共著者で松本春野さんのお父さま・松本猛さんのブログも拝見しました。

「『福島』と一言で括ることの怖さを、福島に通うなかで何回も感じました」
http://urx.nu/irQT

福島に何度も通った方ならではの視点です。
松本さんの書かれている通り、津波と地震の被害で被害を受けた方がたくさんらっしゃいます。
「運動」に目を向ける方々は、時としてこの災害の復興からなにかを奪ってはいないでしょうか。
「忘れるな」「風化させてはいけない」という言葉も、使われ方によっては、私には痛みと恐ろしさを突きつける言葉、癒えない傷を負わせ続ける言葉だと思えることが度々あるのです。


追記
*わたしは80~90年代あたまくらいに反原発運動にすこし参加していましたが、そのこともあって、自分にできる表現はなにか、を探してきたことを以前ここに書いております。
http://koko.asablo.jp/blog/2012/01/09/6284755
こういう経緯があって、今回の「実際の事故」には市民運動ではなく、科学的なことに目が向いたのかもしれません。
あの時とは別の創作のかたちへ。

「本職」のzabadakの新しいアルバムもいままさにレコーディング中!です。

「いちから聞きたい放射線のほんとう」まえがき掲載2015/01/12

「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」が出版されたのは2014年3月。去年の今頃はまだまだ原稿の手直しをしていました。
まえがきの部分は、最初に書いたものがこの倍くらいの字数があって、削るのに苦労しました。Amazonの「なか見!検索」でも読めるのですが、未読の方にぜひご覧いただきたいので、ここに掲載します。




この本を手にとってくださったかたへ       小峰公子               

 私は福島県に生まれました。実家は郡山市というところにあります。
 3年前の3月11日、両親は東京にいて難を逃れたのは不幸中の幸いでしたが、やっと帰省した時のことは忘れられません。砕けて散らばった食器、絵や照明器具は床に落ち、本棚やタンスの戸は全開、給湯器の配管は外れて床には水溜まり。2階のタンスや本棚は全部倒れていました。地震の時、家中一体どんな音がしたのでしょう。郡山でもこれだけの惨状でした。
 その上、東京電力福島第一原子力発電所の事故が起きたのです。忘れたくても忘れることができない、容易には消えない傷を、福島だけでなく日本の多くの人が負ってしまいました。
 原発事故が報じられると、たちまちのうちに多くの情報が流れ、いろいろなデータが出てきては、様々に「解釈」され、それがよく理解されないままにどんどん拡がっていきました。放射線関係の情報には、これまで知らなかったたくさんのことが出てきて、誰だって戸惑ったに違いありません。英語の文法のように、音楽の楽典のように、放射線にも世界共通の基礎知識があるはずなのに、それを知らないまま、次々と難問をつきつけられたようでした。けれど私には頼れる友人がいました。物理学者の菊池誠さんに、わからないことをメールやチャットでとことん聞きました。科学苦手、基礎知識ゼロの私に、菊池さんは丁寧に答えてくれました。
 そのおかげで、いろいろな情報を目にした時、これは信用できるな、これはなにか誤解があるみたい、などとわかるようになってきました。危険なことを避けるために多くの情報を共有したいという気持ちは誰にでもあると思いますが、膨大な情報からどれが適切かを自分で判断でき、以前よりも科学的にものを考える習慣が身についたと感じる場面が多くなりました。そして、こんなにわかりやすい貴重なやりとりを私のPCだけに収めておくのはもったいない、これに加えて、女子のこころをぎゅうっとつかんで離さないおかざき真里さんのステキな絵の力もお借りできたら、科学に馴染みのない方にも手にとっていただける本ができるんじゃないか、と思ったのです。
 放射線や原発問題を取り巻く状況は厳しく、解決には長い時間がかかります。その中で、私たちも子どもたちも多くの情報を判断しながら暮らしていかなくてはなりません。この本が、溢れる情報からの自立のヒントとなり、少しでもみなさんの生活のお役に立てたら嬉しいです。

いちから聞きたい番外編:酵素の巻2014/07/30

「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」おかげさまで3刷来ました。
宋美玄さんのブログでもご紹介いただきました。
http://ameblo.jp/son-mihyon/entry-11898102150.html

放射線のことについては、勉強会などでいろいろな方にお会いしてみて、もっとわかりやすく説明する必要があるなという点がいろいろ見えてきたりしています。
すぐにはできないかもしれないけれど、少しずつ形にしていきたいなと思っています。

*「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」のサポートページはこちら
http://theremin.sakura.ne.jp/ichikara/

それで。

最近、身近に開腹手術をした人がいて、医師とお話しする機会がありました。彼女の病気の開腹手術のあとは、内臓の癒着が起きやすく、腸閉塞のリスクも多いとのことでした。
医師は「野菜を摂らなくちゃ、って思って一食ではとても食べられないくらいの量をジュースにして飲まないように!」「玄米もやめとけ」というのです。術後には負担が大きいと。
「箸で食べられるものを食べておくのがいい」ともおっしゃっていました(すりつぶしたりジュースにしたりせずに無理なくということでしょう。ちなみに、「体力をつけなくちゃ、ってたくさん食べようとするのもNG。なるべく腸をパンパンにしない!」「バルーンアートの風船はいっぱい空気が入ってるからねじれる。ふにゃふにゃならねじれないでしょう」とのこと)
ふーむ。でも酵素がいい、っていうんで、彼女はとっても高いジューサーを買ったばかり。そもそも酵素ってなに??
というので、また菊池さんにチャットで伺ったところ、わかりやすく説明していただいたので、UPしておきます!

小峰:突然ですけど酵素についてきいていいですか?

菊池:〇〇酵素って瓶詰めなんかで売ってるものの類は、生物学でいう酵素じゃないんだよね。酵素健康法みたいなのはみんなそう

小峰:発酵食品、って書いてあった。ほかのも清涼飲料水とか

菊池:特保ですらないでしょ。EMの飲料だって清涼飲料水なんだよ

小峰:清涼ぽくないなあ。ちょっと調べたんだけど、酵素ってタンパク質で、吸収されるとただのアミノ酸なの?

菊池:そうだよ。NHKのあさイチでやったらしいよ
http://www.j-cast.com/tv/s/2012/04/23129904.html

小峰:ほうほう。酵素を飲んでもそのまま酵素が増えるわけじゃないのね。

菊池:生物学でいう酵素には膨大な種類があって、細胞の中で働いてる。食べ物を消化するのも酵素の働き。酵素はタンパク質の中のひとつのカテゴリーで、アミノ酸がたくさんつながった紐のようなもの。アミノ酸は20種類しかなくて、それをどういう順番でつなぐかで、いろんなタンパク質になるんだよ。どのタンパク質も構成要素は同じ20種類のアミノ酸。酵素だろうがコラーゲンだろうが筋肉だろうが。タンパク質を食べてもそのままではからだに吸収されないので、アミノ酸に分解して吸収する。これも酵素の働き

小峰:吸収されるときはアミノ酸に分解されていて、でもそれがそのまま酵素にもどって(!)体内ではたらくわけじゃないと

菊池:酵素がアミノ酸に分解されて吸収されるけど、そのアミノ酸が体内で同じ酵素になるわけじゃないの

小峰:コラーゲンはどうせ分解されちゃうから無駄、ってのはよくネットでも見るね

菊池:そう、コラーゲンも話はおんなじね。どうせ分解されて吸収される。コラーゲンが体内でコラーゲンになるわけじゃないってこと。ちゃんとタンパク質を摂っていれば、必要な酵素は体内で作られるわけです。
タンパク質を摂らなくてはならない理由は、一部のアミノ酸は体内で作れないから。必須アミノ酸と呼ばれるものね。
必須じゃないアミノ酸というのは、体内で別の物質から作られる。でも、必須アミノ酸は体内で組み立てられないので、タンパク質を食べる必要があるわけです

小峰:酵素ってタンパク質って気がしてなかったオレ

菊池:まとめると、酵素はタンパク質の一種で、アミノ酸でできている。酵素は消化吸収されるときにアミノ酸まで分解されて、それが体内でタンパク質を作るのに使われる。食べたタンパク質と同じタンパク質になるわけではない

小峰:腸に負担になる生野菜汁を飲むよりも良質なタンパク質を摂ったほうが胃腸に負担もなくてよいわけね。お医者さんは鮪の赤身とか、なんか「え?」っていうのを勧めてたんですけど

菊池:んです

小峰:ビタミンを摂ることと混同してるな。野菜信仰っていうか

菊池:そうだね。ビタミンはタンパク質とは全然違うから。きちんとタンパク質を採っていれば、必要な酵素は体内で作られるよ

小峰:某お医者さんも「野菜は体にいいから食べなくちゃ、とかナニナニのために食べなくちゃ、っていうのはやめろ」って言ってた。そういうことなのね

「放射線について語り続けるということ」2014/07/22

 本日池袋ジュンク堂にて19:30からです。
「放射線について語り続けるということ」
http://www.junkudo.co.jp/mj/store/event_detail.php?fair_id=5604


「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」共著者・菊地誠さんと川端裕人さん(小説家・ノンフィクション作家)の対談です。
私ももちろん行きます。

何度か書いてきましたが、物理学は人間の恣意とは関係ない自然の働きを探る学問です。共通普遍を探る学問です。
音楽に置き換えると、世界共通の楽典みたいなものでしょうか。
譜面が読めてコードを知ったら、誰とでもセッションできる。ジャズだってロックだって、譜面が読めたほうがぐぐっと世界が拡がるでしょう(私、譜面に強いわけじゃないけど!!)。
楽譜そのものについて懐疑的になったりはしないとおもいます。
たまにむっちゃ詳しい人で「インドでは五線譜にかけない音があるから五線譜は不完全だ!」みたいな否定をする人もいるかもしれないけど、それは超マニアックな方でしょう。
でもそういうことがけっこう放射線の界隈では起きていると思います。
かなりその世界で有名なひとでも放射線の物理学をわかってない方がいたりするようですし、独自の論を展開してる人の「独自さ加減」がわからずに、ただアンチナニナニというだけでその論をシェアしたりRTしたり…
そうじゃなくて、まず、一般的なことを知りたい。音楽での楽典みたいに、言語での文法みたいに。
っていうことからこの本は始まっております。

放射線はいっぱい浴びたら怖い。でもどう怖いのか?いま気をつけるべきなのはなにか?事故から時間が経ってわかってきたこともたくさん。状況もデータも、日々更新されていきます。

政治的なことやいろんな立場、様々あれど、まずは基本を知って、情報を選択できるようになりたい。
ご興味があったらぜひいらしてください。

除染から一年、測ってみた!2014/06/11


前々回のブログに、一年ほど前に行った、実家の除染の様子について書きました。


除染前、「除染してもすぐに(線量率が)上っちゃうんだってない」
というまことしやかなウワサがあったり、除染の効果は地形によるなどの話も耳にしましたが、果たして郡山の住宅地の場合はどうなのでしょう?
先週、郡山で放射線の勉強会があって帰郷、除染一年後の空間線量率がどうなったかを測ってくるチャンスにもなりました。

「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」に書いたものは2012年と2013年の測定の値でしたが、下の図には、それより前の2011年12月(原発事故から9ヶ月後)の測定値も書き込んであります。
まさかこんなに測り続けるとは思わなかったので、2011年には測定していない場所もあります。4回とも、友人からお借りしたHORIBAのRAdiを使用しています。RAdiは、実際の値よりも少し数値が高めにでますが、校正したら2割くらい高かったので、それくらいを差し引いて眺めてください。
*昨日アップした画像の誤りを修正しました(6/13 10:30am)
*画像をクリックすると画面が大きく表示されます

除染前後の空間線量率の推移






「除染したら安心して住めるようになった」というのが今回の感想。確実に効果が出ていると実感しました。
(北側にお住まいのお隣さんが除染してくれたらもっと数値が変わるんじゃないかな?と思いますが)

ちなみに、下の写真は勉強会のほうに集った放射線計測器の数々。これ、別に「お持ち寄り」が決まってるわけじゃなかったのに、みなさんが持っていたもの。び、びっくりしました…。
出席した方々は、知る限り北は宮城から南は九州まで、みなさんずっと福島と放射線のことを考えて、そして福島のことが好きになってくださってるのがとても嬉しい!


放射線勉強会@郡山

除染のようす〜郡山の場合2014/05/15

「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」(筑摩書房)に、私の実家の除染の様子を書きました。
案外、民家の除染の様子は知られていないようですので、本の紹介も兼ねて、写真とちょっとコメントなど加えてご紹介します

(私と物理学者・菊池誠さんの会話で話は進みます)
「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」
第二部
9 除染してわかったこと より

 
小峰:私の実家は市内でも放射線量が高い地域で、除染前は年間10ミリシーベルトくらいと言われてました。気になって家の中や庭の放射線量をこれまでに4回測って、そのうち除染前と後の2回の数字を見取り図に書きました


小峰家見取り図
                  (作画:小峰公子)

菊池:空間線量率の測定って、それなりにちゃんとやろうと思うと結構大変だよね

小峰:毎回同じシンチレーションカウンターを使って測りました。それで、実際に測ってみるとわかるのですが、同じ場所で続けて測っても数値にばらつきがでるんです

菊池:カウンターにはいってくるγ線の数はその時によって違うから

小峰:それで、30秒間測るのを5回繰り返して、その平均値をだしました

菊池:見取り図に載せたのはその平均値だね

小峰:実は30ヵ所も測っていて、それだけ測ると2時間ちょっとかかりました
空間線量率@実家

菊池:それはひと仕事だ。除染は郡山市がしてくれたんだね

小峰:はい。2013年6月に4日間かけて。事故から2年以上たってるけど、それでも郡山の中では早いほうでした。市内を線量で区分けして、高い地域から除染しています。雨樋の下に超ホットスポットがあるのは、除染のときにわかりました

菊池:それまでは気がつかなかったの?

小峰:実はその雨樋の近くの部屋だけ数値が高かったのだけど、どうしてなのかわからなかったんです。雨樋の下の溝が土で埋まってしまってたので、目が行かなかったんだと思うんですよ。その辺りの表面はなんと7マイクロシーベルト毎時超えでした。高さ1メートルでも1マイクロシーベルト毎時以上ありました

  *あまりのことにピントがボケています

菊池:建物の構造のせいで放射性セシウムが溜まりやすい場所ってあるよね。除染って具体的にはなにをしたの?

小峰:自治体によって違うらしいですが、郡山市の場合、まずは常緑樹の刈り込みや、枝落としをして、植物についた放射性物質を取る。屋根と壁は何もしませんでした。メインは庭の表土を剥いで、新たな土を入れること、あとはコンクリートのタタキなどの洗浄です

郡山市の民家の除染
  *庭木の間などは手作業で、広い面は重機で土を剥いでいきます

菊池:剥いだ土はどうしたの?

小峰:1立方メートルくらいの袋にどんどん入れていって、庭に5×4メートルの穴を掘って、埋めたんです。ざっと16袋。保管する場所が決まるまでの当面の措置ということで…

郡山市の民家の除染



菊池:巨大な穴を掘ったんだ

郡山市の民家の除染


小峰:はい。重機でどおーんと穴を掘って、剥いだ土の入った袋をそこにだあっと並べて、上から土をかけて

郡山市の民家の除染


郡山市の民家の除染



小峰:掘ったところはわかるように目印の杭が打ってあります

郡山市の民家の除染


小峰:剥いだ土は、庭に置いておくか地中に埋めるかの二択なんですけど、どっちの保管方法にするかは、除染の担当者と相談して決めました。埋めるほうを選ぶ家庭が多いみたい

菊池:剥いだあとはどうしたの?

小峰:できるだけ元に近い形にしてくれます。土だったところは山砂を敷き詰めて、砂利だったところには砂利を入れてくれました。砂利も3種類から選べました

菊池:土をかぶせれば、さらに遮蔽されて、放射線量も下がるね。屋根や壁はどうしてやらなかったの?

小峰:福島市ではやってたところもあったようだけど、郡山市ではやりませんでした。モデル除染地区で屋根や壁を洗ってもあまり効果がなかったということです。屋根の表面の線量がわずかに下がりはしても、その下の部屋の数値は変わらなかったって。もっと早い段階なら効果があったと思うんですけど、台風がいくつも来たり、大雨が降ったりしてますから

菊池:なるほどね。台風より強力な洗浄機はなかなかないか

小峰:はい。それでね、庭の土は、空間線量率を見ながら5センチくらいまで剥ぐことになってたんです

菊池:それより少なくても効果があるとしたら、処理する土も少なくて済むからね

小峰:そうなんですよね、埋める穴も小さくて済むし。私は除染中も空間線量率をシンチレーションカウンターで計測しまくっていました。で、5センチ剥いでも下がらないところがあったんです。それで業者さんに「あと1センチ削ってみてください」ってお願いしたら、
「じゃあ試しにちょっと」という感じで剥いでくれて。そしたらぐっと下がったんです。そこは粘土質のところでした

菊池:1センチ余計に剥ぐだけで大きく変わったりする場所もあるわけか。一律にとはいかないんだな

小峰:そうなんですね、ちょうど「表面汚染密度」を測る機器を持った方が計測に来てたので、「ここは高いな」って一緒に調べてくれて。作業してる方たちも「おーっ、下がった下がった」と効果を目の当たりにできて盛り上がりました

菊池:その場で効果がわかるのはいいね。

小峰:はい、庭でかなり数値が高かった場所のひとつはコケが生えているところで、除染前は1マイクロシーベルト毎時以上もありました。でもそのコケにセシウムがくっついてたみたいでコケを取っただけで、すごく下がりました。除染2カ月後の測定では0.17マイクロシーベルト毎時でした

菊池:それはずいぶん効果があったね

小峰:あと、コンクリートのたたきはでっかいブラシが回転するみたいな洗浄機で洗うんだけど、洗った水はどうするのかなと思ったら、使った水を端から吸引していくんですよ。せっかく除染した庭に汚染水が漏れ出ないように

郡山市の民家の除染


菊池:歯医者さんで歯を削るときの、水をかけながら吸い取るみたいな?

小峰:そうそう、あの方式です。大きな水のタンクを積んだトラックが来ました。そういう汚染水や、除染後の土をどうするかという問題はまだまだこれからですね。まわりの除染も進んで、今はこの測定値よりさらに下がっています。これからも定期的に測定は続けたいと思ってます

******************


山野の除染の問題は難しいですが、住宅地の除染は確実に効果を上げていると思います。





朝日新聞効果かな?うれしいこと2014/04/30

「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」@朝日新聞
4/27の朝日新聞に「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」の書評が載りました。
中西準子さん著の「原発事故と放射線のリスク学」と併せて、というなんとも畏れ多い事です。評者の荻上チキ様、ありがとうございました。

本が出版されてから、いろいろな方からメールやメッセージをいただいたり、実際に会って感想をいただいたりしています。
放射線に興味があるとは思ってもいなかった方が(これまで何度も会ってるのに一度もそんな話をしたことがなかった)、実はいろいろな放射線関連の講演会に行っていて、だけどわからないことも多かったのでこの本が助けになった、とメールをくれたり。
もっといろんな話をしたいのでいっそ会いたい、と連絡をくれた友達とは、時間がいくらあっても足りないくらい、いろーんな話をしました。
それから放射線に関しての見解が違うので親しい人と溝ができていたのが、この本を読んだ事でお互いのスタンスを理解することが出来た、という方も何人もいて、(これも本を出すまで彼らがそんな事になってたなんて知らなかった)本当に嬉しいことです。しかも、逆の立場のそれぞれの友人たちがそう言ってくれたのがうれしい。

「逆の」と言ってしまったけれど、それは溝のどっち側に相手を置くか、なんだけど、そういうの、もうやめましょうよ、って思ってくださるみたい。彼ら彼女らの「せいせいした」表情をみると「苦労して本書いてよかった」と思います。

自分と違う意見を持つ相手を敵みたいに思う、そんな時代じゃない。そんな場合でもない。
これからを探すきっかけに、少しでも役に立てていたらうれしいです。

梅田、代官山、おいでいただきありがとうございました!2014/04/28

八谷和彦さん、しりあがり寿さん、早野龍五さん、小峰公子
25日、梅田の市民社会フォーラムに行ってきました。
内容は、「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」をどうしてつくることになったのか、ということが中心でした。
菊池誠さんと並んで著者としてみなさんにお話しするのは初めてで、ちょっとキンチョーしました。
ライヴは一緒にやったことあるけどね。
あとでうかがったら未読の方もいらっしゃったので、本の内容中心のほうがよかったのかしらという反省もありますが、放射線にまつわる問題について語る、ということに関しては、柔らかい方面からのアプローチが出来たのではないかと思います。
質問もたくさん出て、答えきれなくて打ち上げに突入、かなりの人数の方がご参加くださいました。
企画いただいたスタッフのみなさん、ありがとう、お世話になりました。

26日は代官山でのトーク&ライヴ&パーティー。
ピアノ近藤達郎さん、ベース内田ken太郎さんとの3人で、karakの曲と相馬民謡とzabadakの曲を演奏しました。
そのあと、ニコニコ超会議から駆けつけてくださった八谷和彦さんと菊池さん、私と3人でのトーク。
八谷さんがうまく話を引き出してくださいましたー!!
八谷さんはいつも背中に羽をしょってるなあ。

その後、飲み放題のパーティー。
乾杯のご発声は、菊池さんとzabadakを引きあわせてくれた難波弘之さん。話が長くなって(いろいろききたかったけど)「早く飲みたーい」とツッコまれてましたが、乾杯の後に近藤達郎さんとなんとピアノの連弾!!
これがもう、超絶かっこよかった〜〜
ええもん見たわ〜〜
そのあと、種ともこちゃんにも弾き語っていただきました。
反原発ソングを毅然とうたい、そのあとはしっかり会場をあっためる。さすがです。おら、いい友だちを持っただ。
そしてはにわシスターズでご一緒し、最近またお付き合いが再開した民謡歌手の木津かおりちゃんが近藤ダイちゃんのピアノで素晴らしい声で相馬の民謡を歌ってくれました。わたしも調子に乗って新相馬節を歌っちゃったりしました。相馬大人気。
「あまちゃんメモリーズ」の企画と編集の中川大地さんも舞台にあがってご挨拶いただいちゃいました。
お忙しいところ駆けつけてくださった早野龍五さん、今回の本のオビにコピーを書いてくださったしりあがり寿さんにもお話をいただき、感謝感激。
なんと、しりあがり寿さんは今日紫綬褒章受賞されました。
おめでとうございます。
(早野さんもなんか受賞する予感がバリバリします)

出版にかこつけてみんなに集まっていただいて、本当に楽しい時間でした。菊池さん、お疲れ様でした。
梅田、代官山とおいでの皆さん本当にありがとうございました。
「晴れたら空に豆まいて」スタッフのみなさんもありがとう。

写真は八谷和彦さん、しりあがり寿さん、早野龍五さんと