天使の匂い2005/12/06

zabadakに「天使の匂い」という歌がある。
〜子供は誰だって天使の匂いがする
 その匂いを嗅いだらみんな戦争なんかしなくなるよ
っていうような歌。

「お母さんになると書く事が違いますね」みたいに言われたけど、これは息子を生む1年前くらいに書いてた歌詩だ。
友達の、生まれて3ヶ月ほどの赤ちゃんを抱っこした時のこと。
そのオツムの素敵な匂いにうっとりしてしまった。
胸に、心に、脳味噌に、ふわああっと広がる何ともやさしく満ち足りた気持ち・・・
おっぱいしか飲んでいないこどもからはこんなにいいにおいがするんだ!!
なんて平和なココロになるんだろう、と衝撃を受けた。
ほんと、大袈裟でなく。
これは人間の攻撃的な気持ちを萎えさせる効果がある、と思った。

生まれたての赤ちゃんを世話するお母さんは
昼も夜もない世話でクタクタに疲れ果てている。
自分のためのことなんて、すべてあとまわし。
赤ちゃんはしょっちゅう泣いて、こっちも泣きたくなる。
どうすればいいんだろう・・・。
しかしお母さんがミルクをあげるときに抱っこすれば、
ちょうど鼻先に赤ちゃんのあたま。
その香りを嗅ぐことになる。
その匂いは安らぎを与えてくれる。
まだ閉じていない赤ちゃんの頭蓋はぺこぺこ動く。
大事にしなくちゃ。ぶつけないように。
あたまの後ろはあったかくて髪は絹のように柔らかだ。
ほっとした一体感に包まれる。
赤ちゃんは、可愛がってね、リラックスしてね、と
お母さんにもの言わずとも訴える。
オツムの匂いで。
うまくできている。
生き物のしくみ。

「香水」という小説があって(パトリック・ジュースキント作/文芸春秋)ちょっと前にこれを読んだ時に、やはり子供の後頭部はいい匂いがする、という記述に出会った。
主人公は何故か自分の匂いは持たず、しかし天才的というか
人間離れした嗅覚の持ち主。
この男がとんでもない事件を起こす。
香りを文章で表現するのは難しいけれど、
この本は悪臭も芳香も見事に描いている。
調香の場面などドキドキしてしまう。
フェロモン、ってものを描ききっている。面白いよ。
私が主人公なら赤ちゃんのオツムの匂いの香水、作るのに。

あ、写真は本文と関係ありません。
買ったばかりのシャリマー。
ゲランの香水が好き。

コメント

_ ウォーゼル ― 2005年12月06日 22時44分11秒

私は香水について全くの無知ですが、仕事柄出かけていく著作権法学会なるもので、香水は著作物か、という議論があるのを初めて知って驚きました。
もちろん議論があって、どちらかというと著作物じゃないという意見の方が強いようなのですが、確かフランスでは著作物と認める判例が出たようなことを言っていたと思います。
さすがやっぱり香水はパリ!ですかね。

_ koko ― 2005年12月07日 07時59分41秒

調香師、というひとがいますからねー。
香水も、やはりその方の創作物であるといえるでしょうね。
私も、ある人の調香のものは買っちゃったりしますよ。
「ロー・ド・イッセイ」が出たらまねっこで同じような香りが流行る、
ということがあったり(古い)、最近ではフルーティーやお菓子っぽい
香りが流行ったり、それはしょうがないかな、と思うのですが、
びっくりしたのは「○○の香り」と全く悪びれずに商品名を冠した
コピー商品があったことです。
歴史やイメージごと纏ってこそ香水の愉しみがあると思うんだけどなあ。

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