「それが福島のためなのか」ということ2014/03/02

昨日は板橋のプラネタリウムでの木村林太郎さん、菅野朝子さん、吉良知彦のライヴにゲストで3曲だけおじゃましました。
プラネライヴは五島、葛西、郡山、そしてパリ、と何度かやったことがあり、それぞれに思い出があります。

理論物理学者の田崎晴明さん夫妻が見に来てくださって、終演後軽く(軽く)お酒を飲みにいきました。
田崎さんは「やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識」(朝日出版社)という本(最初はウェブ公開でした)を書かれた方で、一般のひとにわかりやすく放射線の知識を伝えるという、困難な仕事をされた代表的な方だと思います。とても尊敬しています。

科学者、というとワレワレ一般人にはなにをしているのかよくわからないけど、各々、専門の分野を研究していらっしゃるわけです。音楽家、といっても邦楽から歌謡曲から現代音楽から、いろいろあるのとおんなじですよね。
原発の事故と、放射線被害を考えるには、科学の分野とそれ以外、原子炉の構造的なこと、放射線計測機器について、放射線の人体への影響、生物の分野の知識、疫学、そしてICRPなどの見解まで、様々な知識を持って考えていくことが必要なのですね(今回の本を作ってみてちょっとだけですがわかりました)。
何が正しいのかわからないままにどんどん情報が溢れていく状況に「なんとかしなければ」と思った多くの科学者は、ただでさえ研究で忙しいのに身を粉にして、そして多分猛烈に勉強してこの事態のために動かれたのかと思うと心から尊敬します。
科学者同士や医学関係者が連携して調査をしたり、わかりやすい解説をしたり、マップを作ったり、資料を集めて検索のサイトを作ったりした方もたくさんいらして、そういう様子をネットで垣間見るたびに、「なんて素晴らしいんだ、科学者。うう」と感動していました。
そんな物理学者と聡明な奥様と、ちっちゃいテーブルでやきとんの串をほぐしてつつきながらお話を伺えるのは事故があったからで、そういうことを考えると複雑でぐるぐるしてしまいますが、昨日一番心に残ったのは、いろいろなことをいろいろな立場からいう人がいるけれど、大事なのは「それが福島の人たちのためになるのかどうか、だよね」と田崎さんがおっしゃったこと。
福島の人のために。

心からそう思います。

菊池さんも、果敢に混乱した状況に立ち向かってきたロックな(かなりビジュアルもロックです)科学者の一人です。
「いちから聞きたい放射線のほんとう いま知っておきたい22の話」は、科学の時間の準備体操みたいなかんじで読んでもらえたらいいな、と思います。そして実はいろんなことが書かれていて、読み物として楽しんでいただけるのではないかと思います。
読みものだけじゃなくてビジュアルでも!というお話は次回また!

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