疑似幽体離脱2005/11/28

ステージに立った事のある人ならお解りだと思うが、
ワレワレ舞台上の人間はお客様が聴いているのとはまったく違う音を聞いて演奏している。
みんなが聴いているのはソトオト、と呼ばれる音。
大抵客席の中央よりちょい後ろのあたりにでっかい機材があって、PAエンジニアさんが居ますね。外の音は彼が作ってる。
それに対しステージのミュージシャンが聴いているのはナカオトと呼ばれ、足元やステージの横に置いてあるモニタースピーカーから、自分が演奏しやすいためだけの音、聞きたい音だけを選んでモニターのエンジニアさんに調整してもらって聴いている。
気持ちよくチカラを発揮するために、このナカオトがいいか悪いか、ってのは大きくカンケイするのである。
私はベースとドラムのスネアとキックをメインに返してもらっている。
それからZABADAKの場合は楠さんのコーラスも。
ドラムなんて、自分が叩いてるともう他の音なんかほとんど聴こえないらしい。
楠さん、よく歌えるなあ、といつも感心している。
モニターがしっかりしていても、爆音メンバーがお一人いると、まるで自分の声が聞こえないなんてこともありますし。ほら、よくモニターに八つ当たりしてるひと、一昔前にはけっこういましたよね。
あと、ちっちゃい音の楽器の人はモニターが大変、とか。
ちっちゃいハコだと、そもそもモニターなし、とか。小編成ならなんとかなりますが。
いろいろあるわけっす。

それで、ミュージシャンなら誰しも一度は、ああ、自分が演奏してるところを客席で聴いてみたい、できることなら幽体離脱したい、と思うことでしょう。
いったいどんな音をみんなは聴いているんだろう??と。

で、一昨日の舞浜クラブイクスピアリ。
これは、偶然にもほぼその夢が叶った状態。
バンドでやってるナンバーをほとんど同じメンバーで聴けた!!
自分がサポートしていないZABADAKのライヴだと、どうも私のほうがどきどきしちゃって冷静に観られないし楽しめないんだけど、歌っているのはめちゃうまい岸祐二さんだから、めちゃ楽しめた。

イクスピアリは音がいい、との評判だったんだけど、
ハコの印象だともっとしっとりした音作りなのかと思ってたら(メンバーのせいもあるか?)、めちゃくちゃロックじゃん!!!
ほー。そうでしたかー。
いやー。かっこいいバンド。いい音じゃん。
難波弘之さんは華麗で美しく、
青木君はベースはブイブイ、ギターは繊細、
楠さんは実像からは計り知れなくセクシー、
吉良君も不思議にどっしりとかっこいい。
岸さんは歌詞を忘れる、という吉良君の伝統芸をしっかり受け継いでいた。

もう少しコーラスがおっきくても良かったかな。
とは思ったものの、もう最後の方はどっぷり浸れました。
お疲れさん。みんな。
わー。なんか、次のライヴが楽しみだなー。
ミュージシャンっていいもんだなああ。
いまさら。

コメント

_ nanako ― 2005年11月28日 20時22分00秒

私たちはソトオトしか聞くことはできないけれど、ライブのあの、
1回勝負の緊張感や一体感は、そんないろんなコトが
積み重なってできあがているんだな、と初めて知りました。

小峰さんの詞、とても心に響きます。
岸さんを通して、ZABADAKを知ることができたこと、
感謝しています。

それから、また、お子さんのかわいいエピソード、
楽しみにしています。

_ koko ― 2005年11月29日 01時39分33秒

nanakoさん、ありがとう!
ミュージシャンは一発勝負。
「忘れやすさ」も曲を新鮮にプレイする秘訣です。
脳味噌の具合がそこに追いついてきた昨今、ますます演奏に磨きがかかる予感が致します。
そして、新しい作品作りにがんばりますー。

_ ウォーゼル ― 2005年11月30日 08時08分18秒

またひとつ勉強になりました!「忘れやすさ」というのも意外です。それを記録に残すライブ盤っていうのはあくまでファンのためのものってことですね。(この記事のご紹介を書いてトラックバック遅らせていただきました。よろしかったら)

_ koko ― 2005年11月30日 10時05分17秒

ライヴ盤はエアーとラインの音を混ぜてますよね、大抵。
自分が聴きたかった音を、できるだけ再現してる、ってことかな。
できるだけ会場でお客さんが聴いていた音に近づけたいけれど、
あの、体にリズムが低音が響いてくる感覚は会場でないと体験できませんね。

_ ウォーゼル ― 2005年11月30日 20時33分32秒

エアーとラインの音を混ぜてるんですか。なるほどなるほど。ほんとにライブはその場にいてこそですよね。開演前に早めに入場して味わうこれから始まるんだ、っていうわくわくした感じからして大好きです。
(先ほどの私のコメントに誤字がありました。トラックバックは遅らせてじゃなくて送らせてでした。失礼しました。)

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