3月26日伊勢へ。2006/04/02

10時半に家を出て伊勢へ。
お天気もよく道も空いていてスムーズ。

伊勢へ着くと山の上に金ぴかなお城が。
安土城すか。派手ですな。
お城は車から眺めるだけで、二見ヶ浦の夫婦岩へ。
岩の上でも鳥居を建てちゃうのね。
コドモはおみくじを引いたら「小吉」。
ちょっと風邪気味でまったく小吉な感じなのだった。
夫婦岩の前に藁で編んだ輪っかが重ねてあった。
初めて見るものでなにかアジアンな神秘的なオーラを放っている。
それでからだの悪いところをさすって納めると治る、
という不思議なアイテム、300円。独創的だ。
浜沿いには貝などを焼いているお店が連なっていて和風な香りバクハツ。
そういえば変な音楽流したりしてなくてよかったな。
波も静かな海だ。
観光した。

夕方5時、ここのすぐそばのお宿へ。
エレベーターの中まで畳敷でとても清潔な旅館だ。
風呂上がりに誰がはいたのかわからないスリッパをはくのは
本当に気持ち悪いのでスリッパなしは嬉しい。
そしてここも廊下に変な音楽流してなくていい。
鳥の声とかね、流すとこもあるっしょ。止めて欲しいよね。

お風呂につかったのち海産物の炭火焼の夕食。
刺身だとイマイチ好きではない伊勢エビ、
さっと焼いて食べるのは美味しゅうございました。
ちょっと残酷だったけど。
あまりにも品数が多いのでごはんはいりません、と言うと仲居さんはとっても残念そうなカオをするのだった。

3月27日其の壱 おかげ横丁2006/04/04

朝食ののちお伊勢さん参り、まずはおかげ横丁へ。

昔、事務所に入る前にバイトしていた企画会社の
クライアントの一つが「赤福」系列の会社だったので、
何故か仕事で一度このあたりには来た事がある。

赤福、って知ってますよね?やわらか〜いおもちに
こし餡ののったお菓子、いい材料を使っているので
素直ないい甘さ。
今時珍しく個包装でもないし日持ちしないし、
運ぶ時は傾けられない、という超ライヴなお土産、
故に昔は遠方には伝播してなかったと思う
(私はバイトするまで食べた事なかったっす)。
赤福の社長さんは何度か会議などでお会いしたが、
夢を持った、とても素敵な方だった。

で、赤福の本店でいただいたお茶のおいしかったことや、
五十鈴川のきれいだったこと、参道のこまごまとしたお店の
楽しかった事、何より伊勢神宮の確かにカミサマがいる雰囲気、
などは憶えているんだけど、肝心の仕事の内容は忘れてしまった。
ん〜何しに行ったんだっけな〜。
例によって夜はとてもおいしい居酒屋(トイレは外にある!!)
で大酒飲んでフグ、食べた。
はまちを酢みそで食べた。
煮奴も、と、ほら何食べたかは憶えてるんだけどなあ。

おかげ横丁はお伊勢さんテーマパーク。
写真は招き猫グッズのお店の裏。
裏側もオシャレ。気の配り加減はさすが。

3月27日其の弐 伊勢神宮2006/04/05

参道の町並みにうきうきして、風邪が気になるムスコも
「気分よくなってきた」と足取りも軽くなっている。
すごい。お伊勢さんパワー。
コドモの時に来た以来、という吉良君は
五十鈴川の記憶が強かったらしく、コドモに
「2メートルの鯉がいるんだ」などと言っておる。

私が以前に来た時は夕方だったし平日だったせいか
人もまばらで杜の気配が濃く、
ぎゅぎゅっと引き締まった霊気が漂っていた。
ここにはやはりカミサマがいるのだ、と思ったものだった。
今回は春のぽかぽか陽気で春休みの人出もあり、
のんびりしたお参りムードの人々の流れに乗って歩く。
とはいえそこは吉良家の定め、「テングチョウだ!!」と
越冬個体を見つけては参道からはずれ、「デッカい!!」と
巨木を見つけては耳をくっつけ。
などしながら正宮に着いた。
手前には遷宮予定地があり、コチラの場所からもすごい気が漂ってくる。
いつもは家族が健康でありますように、とお祈りするのに
世界平和を祈った。
なんだか畏れ多くて個人レベルの問題を持ち出す気に
なれなかったのであった。
コドモにも「何をお祈りしたの?」ときくと
「あらそいがなくなりますように、って。」
というのだ。
お母さん、泣けてきたね。

帰り道、参道の店で伊勢うどんを食べたりして
クルマに戻る。
今度はゆっくりと他のお宮も巡ってみたいなあ。
ここから志摩半島をぐるっとまわって那智勝浦へ向かう。

3月27日其の参 志摩半島〜那智勝浦2006/04/08

せっかくここまできたのだから、と志摩半島をドライヴ。
パールロードを南下し、海岸線に沿って走る。
思ったより高低差が激しくリアス式海岸が眼下に見えたり、
思わぬところでばばん、と海がいきなり出てきたりして
意表をつかれた。
高いところからの眺望は海と陸がぐじゃぐじゃと
複雑で素晴らしい。海も湖面のように静かだ。
遠景だと人工物が地形を壊していないようで、
まんま自然の作り上げたいとめずらし海岸線と
島々をば眺むれば、人間のまだ少ない昔々に運ばれた
ようだ。
いにしえいにしえ。

そこから尾鷲を通り、さらに和歌山方面へ南下。

「海で遊ぶー!!」とコドモが言うので途中降りた浜は
まあるい石だらけの七里御浜というところ。
世界中どこへ行っても石ころや貝殻を拾ってしまう
吉良家のこと、ここでも3人黙々と石拾い。
自分だけのお気に入りを探していく。

この石の浜に打ち寄せる波はサイダーみたいにクリアで、
波がひく時の、石を巻き込み波がくだける音、
無数の石同士がぶつかる音は打楽器オーケストラみたいだ!!
珊瑚の小枝がカラリラと鳴る石垣の浜のかわいい音も
いいけれど、こっちのはすっごいダイナミック。
みんなで音をきいていたところにデッカイ波がざばん、
とやってきてきゃあきゃあ言いながら逃げた。

そんなこんなでお宿に着いたのは6時過ぎ。
品数少なめの夕食だったが昨日あまりのご馳走に辟易して
しまったのでコドモはむしろ食欲がわいた様子。
しかしコドモの咳が気になる夜であった。

3月28日 其の壱2006/04/10

部屋の窓から海沿いに小屋が見える。
多分ホテルの人は、アジアのリゾートホテルの
離れ風スパ、をイメージしたんだろうけど、似てない。
一応入浴してみたが、こりゃ、海からは丸見えですな。
シーズンオフで誰もいないからいいけど。
って、いないのはこの雨のせいだ!!
お風呂からあがるとなんと雷まで鳴りだした。
部屋から見える那智の滝がどんどんかすんでくる。
うう。
朝食ののち、直ちに出発。

大台ケ原を目指すのだ。え??と思った人は
このあたりに明るいですな。
コドモは熱っぽいせいか連日クルマに乗るととたんに熟睡。
寝てる間に訪れたこの獅子岩の写真をあとで見せると
「見たかったあ!!」と悔しがっていた。
道々、海岸沿いの桜が満開の一歩手前で美しい。

3月28日其の弐 幻の大台ケ原2006/04/11

「んー。和歌山まで行ってみっか、と思って勝浦に
泊まったんだけどどうせ(道を)戻るんだし
もっと(吉野に)近くに泊まってもよかったな」と吉良君。
「まー獅子岩見えたし石拾えたからいいんじゃないの?」
てなかんじ、今回の旅程は全く吉良君任せにしていた。
走るコースを移動の時になって聞いて、ガイドブックの
とぎれとぎれ地図ダメダメ公子ナビでここまで来たのだった。
おかげで来た道を戻ったり、を何度したことか。
最近地方の町や郡や市やらは合併が多くて、
地図にない地名表記が出てきたりして
まことにわかりにくい。

大台ケ原目指し北山川沿いの山道をどんどん登って行く。
ダムの周りは桜がキレイ。
で。これから行くところは分岐があるからちゃんと見ててね、
って言われたなあ、とガイドブックを見てみると。
「大台ケ原ドライヴウェイは4月20日まで雪のため閉鎖」
と書いてある。
「ここに・・・。へいさ、って書いてあるよ」
「えええ???」
大台ケ原をかなりこの旅のメインに据えていたらしい吉良君は
大ショック。
観光課などに「圏内」を探しつつ電話して確かめても
やはり通行止め。
そして大台ケ原から今日の宿へぬけようとしていた
ルートも冬期閉鎖、らしい。がーーーーん。
雨は強くなり、コドモの咳もひどい。

ケータイかけまくって本日の宿のある洞川まで行くにはやはり
吉野をまわるしかないと判明。
このあたりはさすが寒いんですね。桜、咲いてません。
吉野川沿いに「吉野神宮」という看板が。
ついでだから見て行こう、と吉良君。
しかしここでっっ。
買ったばかりのデジタルカメラをぶつけて壊してしまう!!!
あううううう。再生できるが撮影できない!!
しばらく立ち直れない。
のちにたった40分で修理できるからあなた、大丈夫よ、
とあの時の私に教えてあげたいものであるが、
前日世界平和を願った私も、今やカメラの
奇跡的復旧を神に願うばかりである。
ダメダメ気分で吉野、退散。
もう少し遅かったら桜が見事だったろうなあ。
せめてせめて竹林と満開の梅が美しい山を堪能。
このあたりの竹はいい姿をしている。

天河神社もこの日の観光の予定だったが、
ルート変更でだいぶ時間をロスしたのでまっすぐ洞川温泉へ。
ここへ向かう道には電柱ごとに赤や黒の文字もくっきりと
「だらにすけ」「陀羅尼助」と書いてある。
ダラニスケ。私は知りませんでした。
関西では有名だと言うこの薬。
母親が誰かに貰ったと言って飲んでたのは、
ダラニスケだったのか、と思いあたったのは
宿で現物を見てからだった。
役行者が昔作ったのがはじまりだというこの和漢薬、
洞川温泉では何件ものお店で作って販売してるらしい
(薬なのに自家製!)。
温泉街はちっちゃい通りにびっしりと
温泉宿やダラニスケ関係のお店がある。
なんだかすっげー遠くに来た気分。
行者さんの宿場という風情でいいですな。
雨もかなり降っているので部屋でゆっくりする。
300年も続いているというその宿の部屋は
広々とした二間続き、炬燵があってうれしい。
宿のバイトはみんなおにーちゃんだ。
「高校生?春休みのバイト?」ときくと
「はい。今日は女子のバイトがいないんです」
とのこと。がんばれ、ワカモノ。

夕食は山菜がいろいろと出て、海の幸続きの胃にうれしい。
うどのふきのとう味噌和え、なんて大好き。
コドモ的にはちょっと嬉しくなさそうだったけど。
天気予報ではこれから明日にかけて寒気が入り込みます、
と伝えていた。

3月29日其の壱 天河神社2006/04/12

5時に目が覚めてしまった。
なんと、窓の外は雪である。
しかもかなり本格的に降っていて風も強い。
「もう、今日帰ろう。」
と先に起きていた吉良君が言ったなり、
また寝てしまった。
本来ならば今日は奈良市内へ行き、
最後の一泊をする予定なのだ。どうしようねえ。
吉良君が帰ろう、と言ったのにはコドモの体の事もある。
昨日38度以上の熱が出たのだ。
うーん。
無理して東京まで帰るのと、奈良で一泊するのと。
どちらがいいんだろう。

私はなかなか二度寝が出来ない。
今回は旅先で読もうと思っていた本を忘れてきてしまった。
旅行の前日に読み始めた「博士の愛した数式」
が面白かったので減らないようにちびちびと
読んでとっておいたのに。
他にも軽いエッセイを、と思っていたのに全部忘れた。
リゾートで暗いのや陰鬱なのを読んでしまって
失敗した事が何度かあるのでようやく学習したのになあ。
仕方ないのでお風呂にゆっくりと入りに行った。
雪景色を見ながら入ることになるとは思わなかった・・・。

ようやく朝ご飯の時間になる。
ニュースは今日は一日荒れ模様、と伝えていた。
「とりあえずすぐ出よう」
と、朝食後にすぐにチェックアウトしに行ったが
宿の主人はもう少し気温が上がるまで待っていた方が
道が危なくないだろう、と言って引き止めた。
代々続いた宿の放蕩息子っぽい感じのご主人、相当心配して
わざわざ息子さんにバイクで道の偵察にまで行かせて
安全確認してくれた。
どうやら道路の凍結の心配はなさそうだ。
昨日から災難続きだったので私もいつも以上に
心配してしまった。

宿の主人と別れ、ここだけは行きたい、と吉良君希望の
天河神社へ。
ここは芸能とゆかりの深いカミサマなのではずせない。
雪のちらつく中でお参り。
吉良君は五十鈴、私はお守りを買った。

またダラニスケ看板だらけの道を降りると、
里の方は雪も少なかった。
新緑のぽわぽわした山に粉雪がかかってかわいい。
だんだんお天気も回復してきた。
コドモの熱を計ると36度台に下がっていた。
「やっぱ、奈良で泊まろうよ」
ということになり、とたんにウキウキ。

途中で日本一古い水のカミサマ、という神社に寄って
酷く錆び味の水を飲んじまったりしながら奈良へ向かう。

3月29日其の弐 奈良へ2006/04/13

奈良への道はなかなかに混んでいた。
まずは平城宮跡へ。
ひっろーーー。
吉良君的に今古代ブームらしくここへはぜひ
来てみたかったらしい。
発掘したままの状態のようにして展示してあるところなども
あり、すごい巨木で作ってある井戸や柱なども見学できた。
井戸はくりぬきだ。
一昨日見た伊勢神宮の大木を思い出す。
人間は木を伐り、それを建材や燃料にしつつ生活圏を
拡げて行ったわけだが、昔はホントにこんなすごい木が
まだたくさんあったんだなあ・・・。
遥か昔の人が掘った穴。
時間を越えて残るもの。

ちょっとざわざわする。
きっといろんなことがここであったんだろう。

西大寺をちょこっと見てお次は唐招提寺へ。
宝物殿で彫刻や鴟尾など見学、これはコドモも
興味深かったらしい。
鴟尾はのちに鯱に変化して行く屋根の飾りで
火除けのお守りなんだと。なんともぬらあっとした
しかしパワーのあるカタチにしばし見入る吉良家であった。
鑑真の墓所の苔がとても美しかった。

今日のお宿は猿沢池近く。
クルマの前にいきなりシカが出てきたりして到着。
もう夕方になってしまった。
五重塔が見える露天風呂に入ってゆっくりしたい、という
コドモと吉良君を置いて、私はビールとコドモのご所望
のプリンを買いに写真を撮りながらおさんぽ。
猿沢池とお寺、お土産物屋が並ぶ通りをぶらぶらと。
知らない町歩くのって楽しい。

部屋に戻って私もお風呂へ。
ほほー。五重塔の美しいお姿が見えてなかなかにいい感じ。
脱衣所のつくりも、センスようございます。
で、晩ご飯もとてもおいしかった。
お酒もいいのが置いてあって、吉良君は芋焼酎、
私はワインのハーフボトルをオーダー。
やっぱり来てよかったねえ。
コドモの体調も復活。
夕食後、街に出てぶらぶら。
ライトアップされた五重塔の写真はあとで見ると
酔いのためかちょっとブレていた。