父のこと2011/10/25

大学4年の時のこと
父はコネクションのある某大手証券会社に
私を就職させるつもりで話をつけてしまっていた。
大学の就職担当の方からも
「〇〇証券から連絡が来てますよ」と呼び出しを受けたが
「就職する気はないです」
と断った。
その頃すでにkarakの前身みたいなバンドをやっていて、
自分は音楽で食っていくのだ!!と決めていた。

卒業後のことに関して、マトモに父と話すのを避けていたが
あれは郡山に帰った時だったからお正月だったのか
東京へ帰る私を駅まで送ってくれる父の車の中で
「私は音楽をやりたい、どれだけできるかわからないけど
とりあえず一年でもいいから、やらせて欲しい」
とお願いした。
父はうっすら予想はしていたのだろうが
「わかった、でも一年ではできないかもしれないから
納得が行くまでやってみろ」
と言ってくれた。
心から嬉しかった。
なんていいこと言ってくれるんだろう、と
父を改めて尊敬した。

私が音楽一本で生活することができるようになるまでには
一年ではなく少々時間がかかることになるのだけど
デビュー前のあるとき、
やはり郡山でテレビを見ていて
虚業とかそんな話題になって
「私のやってることも世の中の
役には立ってないしね」
と父にボソっと言ったら
「お前の作った曲を聴いて、その短い間だけでも
いい気分になったり楽しんだりしてくれる人がいるんなら
それはその人の役に立ってるってことだ」
と言ってくれた。
救われたような気分になった。

その父が先日他界した。
がんがわかって約3年だから覚悟はしていたけれど
まだ父が居ない、ということがよくわからない。

でも音楽があるということは
父とともにいることなんだなと
父の言葉を何度も思い返している。

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