八重山日記~#12007/09/01


前日、荷造りしなさいよー、とコドモに言うと、
「ゲームはいらん!!」
と、リュックからゲームソフトを取り出している。
「え、ゲーム持って行かないの?」
旅行のお伴、ニンテンドーDSなのに。
「いかないよー!だって石垣だよ、そんな楽しいところにはいらないよ」
ZABADAKのツアーに行く時は真っ先にゲームソフト揃えてたなあ。
富良野でもコンサートが終了したらゲームは早々に仕舞い込んでいた。
コドモにとっての楽しさ加減はこの「ゲームの必要度」でわかるといえよう。

それほどまでだったのでコドモと、遠足の前の日は眠れないタイプの吉良君は、ほとんど一睡もせずに朝を迎えた。
私はちょっとは寝たけど、つられて寝たり起きたり。

6時ちょい過ぎににクルマで家を出る。
8時10分発の那覇行きに乗るのだ。
石垣までの直行便はとっくに満席、那覇行きも満席で3人並びのシートがとれず、縦一列になっちゃった。が、途中となりの親子が席を変わってくれて私とコドモは並んで座ることが出来た。
那覇に着き、空港の建物に入るなり、正面の窓に人だかりが。
先日のチャイナエアラインの事故機がそのままそこにあった。
犠牲者が出ていたらこんなふうには見れなかったとおもうけれど、みんなケータイでバシバシ写真を撮りまくっている。
私も撮った。
なんというか、楽しいことにはこういうリスクもあるんだよなあ、と思わされるもの凄くショッキングな事なのだけど、みんな「自分には起きない事」にしようというような気配が漂っている。
このように大きなモノが無惨に台無しに、しかも青い空の下にさらされている非現実感。これからの旅行気分が害されないように無理矢理ニュースな出来事として受けとめている風もある。

石垣行きまで時間があるので一度ゲートを出て空港内のレストランでお茶。私は大好物の「氷ぜんざい(黒糖で煮た金時豆のつめたいおしるこにかき氷をかけたもの、白玉がはいってたりする)」を食べる。ここのはちょっとお上品。
石垣までの飛行機は並んで座れて、コドモはリゾート気分爆発のハイテンション。私は眠い。
コドモには沖縄7回目、であるが、石垣は実に6年ぶり。
写真やビデオを見ていたのでなんとなく憶えてるような気がしてるようだが、西表ややんばるほどの鮮明な記憶はないっぽい。

石垣に着くと、あっつい!!日差しが肌にぴりぴりくる。
「でも、『良く暑い』ねえ」
と、無理矢理いいほうに持って行く私たち。
レンタカー荷物を積み替え、まずはお昼ご飯食べにゴー!
昔はもっと道、細かったような気がするなあ。
郷土料理のおいしい「舟蔵の里」は、お庭もとてもきれいで、お店の作りもセンスがよくて大好きな店だ。
http://www.funakuranosato.com/
コドモが小さい時はいつも落ち着いて食事できなかったので、今回はゆっくり過ごせて嬉しい。しかし庭にたくさんのチョウが飛んでいて、コドモは気もそぞろ。
吉良君はチャンプルーそば、私はナーベラー(へちま)の味噌チャンプルー定食、コドモは石垣牛のハンバーグ。
ナーベラーは翡翠みたいなグリーンで、いかにも体によさげな味、味噌とよく合うゴハンがすすむ〜。
おいしゅうございました。

さあ、ホテルへ行こう。

八重山日記~#22007/09/01

フサキリゾートヴィレッジ、滞在は4回目、リニューアルしてからは初めてだ。
http://fusaki.com/
以前のちょいとガサツででーげーな感じ(そこもよかったんだけど)が払拭されておる。超人気ホテルになったのもわかるなあ。
まずは水着に着替えてホテルのビーチでオリオンビールだ。くあー。
ここのビーチはお魚は少ないけど、三角お屋根の桟橋がアクセントになってビーチの眺めはとてもよろしい。

パラソルとビーチベッド、ってなんというかそれだけで天国気分への切符だ。
これよこれ。サンゴの砕けた砂。
シュノーケルで海の中をのぞく。アジみたいな魚がいる。
そのくらいでもかなりコドモは大喜びだ。明日米原ビーチに連れて行ったらとんでもないことになるぞ。

プールでもコドモ、ハイテンション。騒ぎすぎてプールから上がると、さすがの睡眠不足から昼寝、爆睡しておった。

夕食は夕日を見ながらテラスのレストランでバーベキュー。
写真を撮り合う幸せそうな家族やカップル。平和だ。
線香花火の玉みたいにじくじくとした太陽が沈んで行く。
「緑の光線」が見えるかなあ、と言っていたらうしろの席のおじさんも同じ事を話していた。

日が沈むと島唄のショーが始まる。三線と歌の男性と、サンバとコーラスのネーネー、タイコとコーラスのネーネーの三人編成。このネーネーの、サンバのさばきがチョー上手くて、ビデオを撮る。後ほどゆっくりと研究するぞ。
男性の歌い手のリクエストありますか?という声に「島唄」をリクエストする者のありける。「これは島の歌じゃありませんが」と言いながら歌ったあと「もう一曲リクエスト受けます」というので、「はいっ!!」と挙手して「月ぬ美しゃ(ツクヌカイシャ)」をリクエストする。これは、八重山の古い子守唄です、焼き肉焦がさないように聴いてください、と解説して歌ってくれた。美しいけど難しいメロディー。

夕食後、ホテルの庭を散歩。
オカヤドカリやらヤエヤマオオコウモリやらホタルやらに会う。
波音も聴こえない程静かな夜。ツキヌカイシャ。

部屋に戻ったら、電池切れ。楽しくてツカレタ。
残波のロックもそこそこに眠り込んだ私であった。

八重山日記~#32007/09/03

8/28は皆既月食。
夜のスケジュールは月蝕観察ね。で、まず朝ご飯。
リゾートホテルのヴァイキングはついつい食べ過ぎてしまう。
フツー、朝からこんなに食べないっしょー、ってくらい
食べる。
まずはジュースを取りに行きつつ、一通り、
何があるかを偵察。
沖縄ならではのチャンプルーやかまぼこ、ゆし豆腐、
もずく、食べたし。
でも月桃パンもおいしそう・・。
いやいや、今日は和風で行こう。
あれもこれもちびっとずつ食べられるのは嬉しい。
三枚肉の煮物、これはアブラではなくコラーゲンよ〜。
うまい。う〜ん。しあわせだー。
コーヒーにヨーグルト、フルーツもしっかり食べて、
今日はまず川平方面へ蝶を採りにレンタカーでゴー。

行く道すがら見える海の青さ美しさ。
初めて来た時はずっとビデオ回しっぱなしだった。
ちょっと慣れちゃったけど、コドモはかなりコーフンして
「ここのビーチにもこよう」「ここも寄ろう」と言ってる。
わかるわかる。私もそうだったもん。

で、蝶を採ろうと林に入ったんだけど、
あまりの暑さに根性へし折れてるコドモ。
キミは蝶、採らなくていいの?ここまで来たのに?
ということで一悶着有り。
どうもコドモは早く海に行きたい様子。
ほんじゃあ、ムシは夜間最終にするべかね。
まあ、海の方が魅力的かもね。

途中、川平湾にちょこっと寄る。
貝殻やヤドカリやヒトデを探して夢中になるコドモ。
「オレ、ここにいるー」
もっと、すごく面白いからさ、行こうよ、米原に。

名残惜しそうなコドモをクルマに追い立てて米原に向う。
そこはサンゴがビーチまで迫っていて
浅いところでもたくさんのサカナが泳ぐ、
毎回訪れるお魚天国なのだった。

駐車場にクルマを停め、着替えてビーチにおりると、
まぶしく美しい海。
コドモは海にまっしぐら。
私は入念に日焼け止めを塗り、写真等撮ってから
おもむろに海へ。
ビーチからすぐの小さい岩のところに
ちろちろとオレンジのサカナが見える。
近寄ると、なんと、クマノミ(カクレクマノミ)!
ちょ、ちょーかわいい!!
初めてみたよ。 ビーチインリーフにもいるんだ。
コドモを呼んでからカメラを取りに浜へ戻る。
ちょっと遠くでぷかぷかしてた吉良君も呼んで
みんなで観察。
クマノミって、くねくね泳ぐ動きも、形も愛らしいのねえ。
特にムナビレがおっきくてカワイイ!!
「サカナ萌えー!!」
クマノミ、岩から離れようとせず、逃げない。
ずーっと見ていたいカワイさだった。

さて、それからはシュノーケリングを楽しむ。
ルリスズメ、ニシキベラ、ロクセンスズメダイ、
チョウチョウウオ、スズメダイ、ムラサメモンガラ、
ヘラヤガラ、2メートルもあるナマコ・・
ああ、キミはなんていうんだ?いっぱいいるのに知識が
貧しくてイライラするー。
名前もっと知っていたらもっと楽しいだろう。

水面がつくる光の模様がサンゴや海の底に映って
それはそれは美しい。
けれど、以前よりだいぶサンゴの死滅が進んでいる。
新芽は光って見えるのだが、まったく新芽のないサンゴが多い。
それでもこうしてたくさんのサカナが
サンゴを拠り所にして生きている。

コドモ、泳ぎが得意でもないのに、足も立たないところも
気にせずにどんどこ泳いでゆき、
すっかり水中の景色に魅了されている。
ゴーグルだけなので息継ぎに顔を上げながら、
だから相当疲れると思う。

私も最初に竹富でシュノーケリングした時は
水中の世界の美しさにかなりの衝撃を受けた。
地球の半分の海にはまた地球の半分の豊かさがあるのだ、
と知って、少しでもその世界を覗きたい、
泳げなくても浮けるから大丈夫、
いつまでだってここにいたい、と思った。
しかし8年くらい前、一人で遊泳中に
浅いところなのに足がつって溺れ、
死にそうな思いをしたことがあり、
その後何年かは海に入ると心臓がドキドキして
軽くパニックになりそうなのが消えなかった。
私はいまだにすごーく海がコワイ。
それ以来、シュノーケリングの時にはなるべく
腕につける浮き輪か、ライフジャケットをつけて泳いでいる。
コドモにも海は危険だということを言い聞かせる。
足がつる、ってどんなことになるのか、
もしクラゲに刺されたらどうするのか??
しかしウマの耳になんとやらである。
少し上がって休もう、と言っても
「ぜんぜん疲れてないーー!!」
と言ってきかないので飲み物で釣る。
が、「海の水飲んでるからいらない」と、
またまたすぐに海の中へ。
だいぶ水が引いて来ている。
さんざんまた泳いで、しかし空腹には勝てずに
ビーチをあとにする。
サカナにつつかれたりサンゴで切ったり、
足、傷だらけだった。

「知花食堂」はもうおそばがなくなったということで
閉店。残念。
で、「ボーザーおばさんの食卓」という
海の眺めのよきところで八重山そばを食べる。
お水を一リットルくらい飲む吉良君に、
こまめにも水を注ぎに来てくれたお店の人は、
ホテルのボーイさんみたいに礼儀正しい
素敵なにーにーだった。

そのあと、「蝶館カビラ」という、蝶の標本館に行く。
こじんまりとした建物で、中に入ると女性が一人、
出ていらした。
話をきくと、ここの標本は彼女とだんなさんと
二人で採集した物だと言う。
すごいねー。
オオゴマダラの金色の蛹も出して来てみせてくださった。
外の飼育スペースは小規模なバタフライファームのように
なっていてみんなで蝶の写真を撮りまくる。
さて。ホテルに戻るかね。
シャワーを浴びてひとやすみ。
これから月蝕観察に向う。

*写真は川平湾

八重山日記~#42007/09/03

八重山日記~#4

午前中から、名古屋市科学館の毛利さんと
メールのやり取りをしていた。
名古屋は曇りで、月蝕を見るのが難しそうなので、
石垣で月の写真が撮れたら送ってくださいね、
というメール。
そして撮影についてのさまざまなアドヴァイスを
いただいた。うう。なんと有り難い。
パリでお世話になったせめてものお礼に、
何が何でもいい写真を撮るゾー!!と
気分は出陣前のウマの鼻息のようにいなないているのだった。
なにしろこの日のために三脚まで新調し、
世田谷の自宅で月面写真の撮影の練習に
余念のない私であったのだった。

予定としては白保で月待ちしつつ、
ビーチでコンビニのお弁当で軽くゴハン、
そしてバンナ岳で昆虫採集をしてホテルに戻って打ち上げ。
これがまさしく絵に描いた餅に終わるとは、
この時の私は・・ああ、書くのすらやめよう。

沖縄では、コンビニでおにぎりを買うと
「あたためますか?」
と訊かれるので、やまとんちゅーはみな
最初ぎょっとするものである。
おにぎりもスパムと卵焼きが具、
というこちらでは見かけない物が必ずある。
じゅーしー(混ぜゴハン)おにぎりと飲み物など買い込み、
まずバンナ岳へ偵察に行く。

ここは石垣の東側の海方面が見渡せる展望台があるのだ。
以前よりも立派な展望台が出来ており、
そちらに行ってみる。
天文ファンで三脚の林が出来てるか、と思えば
椅子で昼寝してるワカモノが二人いるだけ。
ここで月蝕を待つか?とも思ったが、
ここからだと石垣市街の街の灯りが
多分まぶし過ぎるのではないか?
そして脳内妄想的図柄としての海に映る赤い月、は
望めそうもないのではないか?と思われ。
そして何よりも手前の小高い山で
肝心の月の出が見えないのではないか?
と思われた。

テッシュー!!!!

ここで観察すれば昆虫の夜間採集もできる、と
ほくそ笑んでいたコドモは不平の極みであったが
(皆既中、新月状態になれば、
ムシは自動販売機の明かりにくる!!)
「ムシはいつでも採れるけど、月蝕は今日だけじゃ!!」
と一喝してクルマで移動。

で、白保へ。

う〜ん。
すてき。
むかしよりビーチもきれいだ。
いそいそと三脚を立てる。
コドモもさっきの不平はどこへやら、貝殻拾いと
ヤドカリ探しに夢中。
折しも、雲に、虹が。

八重山日記~#52007/09/05

東の夕日が浅瀬の岩を金色に染める。
雲もピンク色。きれい。
刻々と色を変えてゆく。
ぼんやりとビーチにいると、
何しに来たのか忘れそうだ。
時折テストでシャッターを切ってみる。
月が昇る時刻になっても雲が晴れない。
どどんと居座っている。
そしてどんどんこちらに迫ってくるようだ。

思ったよりも空は明るい。
ううーん。
「見えないね。もし晴れて来たとして、
(月の)高度が上がってるなら
バンナ岳のほうがいいんじゃない?」
と、吉良君。
昆虫採集をしたいコドモもそのほうが嬉しそう。

吉良君がケータイを見ながら
「どーやん、今(月蝕)見えてるって。
富良野は晴れてるんだ」
と。
すごいね。石垣で富良野の情報がわかっちゃう。

荷物をそそくさとまとめ、クルマでまたバンナ岳へ。

途中、名古屋の毛利さんからメール。
名古屋ではかろうじて見えているとの事!!
よかったね!!
でもこっちはダメみたい・・。

バンナ岳の展望台は、先ほどとは打って変わって
大変な賑わいだ。
海と石垣市街が一望できるポイントなので、
月蝕とは関係なしに訪れている人も多いようだ。
大阪弁、名古屋弁、いろんな言葉が飛び交っている。

コドモと吉良君は昆虫採集ポイントを見に行く中、
三脚を立てる。
月は隠れているのに真上は晴れている。
皆既中は新月状態なので、星がたくさん見える。
お隣の三世代家族とみられる方々、お父様が天文に詳しくて
「こんなに星が見られただけでもよかったね」
とおっしゃっている。
でもその奥様がかなりここで月蝕を見るのを
楽しみにしていたようでとても残念そう。
時間が経つに連れ、見物の人たちもぽつぽつと
諦めて帰って行った。
隣りの奥様も、ダンナ様に
「雲が動いてる。この雲はきっとざあっと雨になるよ。
もういこう」
と促されて帰った。
そしてその通り、雨が降ってきた。

雨になったら諦めもつくと言うもんだ。
撤収。

しかしコドモはホテルへ戻る道々、クルマを停めさせ
自販機の明かりにムシが来ていないかチェックするする。
ねばるねばる。

雨のせいか、ホテルの中の居酒屋が満員で、
仕方なくホテルのコンビニでつまみを買い込んで
お疲れさま。
海ぶどう、かまぼこがおいしゅうございました。

残念だったけど、ビーチでゆっくりした時間が持てたのは
よかったかな。
と、思う事にしよう。

八重山のネコ2007/09/06

南国のネコは幸せそうだなあ。

ヒトデ on the ヒトデ2007/09/06

イキモノのかたちは完璧。

りょうほうとも。

海に咲く。2007/09/06

咲いたら一日でぽとりと落ちてしまう、
みなみのはな。
花びらを散らしたり、醜く枯れ果てたりしない。


川平ビーチで。